彼岸とは迷いの世界であるこの世(此岸 しがん)を離れて悟りの世界(彼岸 ひがん)を求めることです。その悟りの世界に到達する実践目標として6つの心がけ(六波羅蜜 ろくはらみつ)が示されています。
1.布施(ふせ)~あなたは何を与えられますか。何を与えていますか。
2.持戒(じかい) ~ あなたはルールを守っていますか。
3.忍辱(にんにく) ~ あなたは我慢しなくてはならないときに我慢できますか。
4.精進(しょうじん) ~ あなたはいつも前向きですか。
5.禅定(ぜんじょう) ~ あなたは常に静かな心でいられ ますか。
6.智慧(ちえ) ~ あなたはいつも佛さまの智慧を戴いていますか。
この中で“戒”、“定”、“慧”の三つは佛道を修行する者に必修とされる最も基本的な修行としており、戒学、定学、慧学の三つを“三学”といいます。
戒:悪をとどめ、善を修すること。
定:心身を静かにして心身統一を行い、雑念を払い思いが乱れないようにすること。
慧:静かになった心で正しく真実の姿を見極めること。
この不即不離な三学の兼修が佛道の完成をもたらすとされ、規律ある生活を営み、そして心が落ち着いて、そこで正しい世界観が持てるようになるのです。( 中村元著「佛教語辞典」より)
智慧第一と称せられた宗祖法然上人は、ご自分のことを「戒・定・慧」の三学全く備わらず、愚痴の法然房と仰せられました。佛教では「正しく知る」という智慧が強調されます。法然上人のように心の定まった人はこの三学を学び、修行することができるでしょう。しかし、上人ご自身は「全く備わらず」と言われ、ましてや心の散じている我々凡夫には難しいのです。お彼岸は、自分と向き合いこの三学を考えてみる絶好の機会です。