大般若転読会

大般若経の転読

大般若会だいはんにゃえ(1月15日)

 1月15日には、大般若会を修行します。
 大般若会とは、唐の玄奘三蔵が訳された 大般若経(大般若波羅蜜多経)六百巻を読誦する法要です。 しかし、六百巻と大部なため全体を通読する真読に対して、単に経題や経の初、中、終の数行を略読する転読 という方法で経本の紙をパラパラと繰って厳修します。
 永観堂の大般若会は、鎌倉幕府の将軍源頼朝が建久九年(1198)に上洛した折、当山に参って天下泰平の祝いのためにと十六善神図および大般若経を寄納したことに始まります。 なお、1月15日は当山をはじめ洛中の六カ寺の阿弥陀様にお参りする洛陽六阿弥陀巡拝の「六阿弥陀功徳日」と重なり、たくさんの方が参拝されます。

洛陽六阿弥陀巡拝とは

 一年十二ヶ月、毎月の功徳日に京都市内六ヶ寺の阿弥陀如来様をお参りするもので、江戸時代中期に始まり今も続く行事です。三年三カ月、休むことなく参詣すれば、無病息災、家運隆盛などの願が十倍になって成就するといいます。また、各月の参詣の功徳として、
正月十五日仏を六万体つくるにむかふ
二月八日五重の塔を万たつるにむかふ
三月十四日七堂がらんをたつるにむかう
四月十五日九万六千人の僧に施しをするにむかふ
五月十八日父母を千年供養するにむかふ
六月十九日風呂を一万度たくにむかふ
七月十四日塔婆八万四千本たつるにむかふ
八月十五日万燈を八万度ともすにむかふ
九月十八日万部経を八万度よむにむかふ
十月八日三千人の僧に衣服一万度施すにむかふ
十一月二十四日施行(布施)六万度するにむかふ
十二月二十四日法華経を三万部書写するにむかふ
とあり、江戸期の民間信仰のためか、現世利益を色濃く残しています。「むかふ」は自分の功徳を他に振り向ける「回向(えこう)」の意味です。
 なお、六ヶ寺とは、一番・真如堂(東山)、二番・永観堂(東山)、三番・清水寺奥院(東山)、四番・安祥院(五条坂)、五番・安養寺(新京極)、六番・誓願寺(新京極)です。