みかえり法話


花びらの疎水
琵琶湖疎水

23 健康ってどんな状態をいうのでしょうか

 こころの健康をかんがえてみましょう

 健康ってどんな状態をいうのでしょうか。世界保健機関(WHO)憲章では、健康について「身体的に健康、精神的に健康、そして社会的に健康」 と定義しています。それはそのとおりです。しかし、もう一歩踏みこんで「こころの健康」というのがだいじです。もっといえば、病(やまい)をもっている、 お金はない、けれど「生きるよろこびからくるこころの健康」です。日常の生活は大変だけどそれでも、この私は「許されて在(あ)る」 「こんな私が拝まれて在(あ)る」と、見えないいのちに見守られていることを喜ぶこころ、それが「こころの健康」です。
 星野富弘(ほしのとみひろ)さんという詩人・画家が群馬県におられます。1970年、大学を卒業して高崎市の中学校に体育教師として新任赴任して早々、 体操部の指導中、頸髄損傷をして肩から下が全く動かなくなってしまいます。それでも筆を口にくわえて水彩画、ペン画を描き、 詩や随筆を世に出しておられます。星野さんの作品は絵も詩も文章もやさしくて凛としていて、どれもすばらしいものです。
その星野さんの作品の中に、紫色のおだまきの花といっしょに書いた詩があります。

 いのちが 一番大切だと 思っていたころ 生きるのが 苦しかった
 いのちより大切なものが あると知った日 生きているのが 嬉しかった

という詩です。
 星野さんは身体(からだ)が動きません。ですから、まわりの人たちからたくさん励ましの言葉が寄せられます。それに応えよう、と頑張ると「いのちがいちばん大事」と思ってしまいます。 しかし、体・いのちは自分の思いどおりにはなりません。だから苦しいのです。そこで星野さんは気づくのです。 こんな体でも神さま、仏さまがそれでいい、それでいい、とおっしゃって下さっている、と(星野さんはクリスチャンですので神さま、ですね)。 つまり、不自由な身体のおかげで、こんな私を「それでいい」と認めて下さる「見えない大いなる力」に出逢えたのです。 その出逢いを感謝できる自分に目覚めたとき、「生きているのが嬉しかった」のです。
 いま私どもが考えねばならないのは、この「こころの健康」だと思います。

 


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