みかえり法話


紫陽花
紫陽花

27 信仰心

 今年1月29日、若い夫婦に女の子が産まれました。家族は、お兄ちゃんを含め4人になりました。
 実は、4年前も4人でした。しかし、4年前の12月30日夜、妹の奏海ちゃんが亡くなりました。もうすぐ2歳の誕生日というところでした。 年明けお葬式をしました。戒名は、「奏月」とつけました。「月」は、満月から次第に欠けていき、新月には見えなくなってしまいます。 月はなくなってしまったように見えるが、また三日月から満月へとよみがえってきます。奏海ちゃんも亡くなって終わりでなく、いつかまた、 この世に生まれ変わってくることを願って「奏月」とつけましたという話をしました。
 それから、月命日には、夜お参りに行きました。必ず家族3人揃ってお参りするためです。お父さんの仕事やお兄ちゃんのサッカーの都合で、 早朝になったり、昼になったりすることもありました。新調した小さな仏壇の周りは、おもちゃやお菓子が供えられていました。 それに、3人で折った折り紙も添えられていました。ミニチュアのお雛様や七夕飾りなど、季節を感じるものも飾られていました。 まさに仏壇の奏海ちゃんと4人の生活をしているようでした。
 三回忌を終えた後、「奏海ちゃんを亡くして、悲しい、悔しいでしょうが、今でも4人で生活しているように見えますよ。 2年足らずの短い人生であったが、こんなに優しいお父さん、お母さん、お兄ちゃんと一緒に過ごした奏海ちゃんは幸せであったにちがいない」 という話をしました。その後も、3人は一途にお参りをしました。
 昨年、3人がお寺に腹帯を持ってきました。
 「赤ちゃんができました。お経をあげてください」
 何と予定日は、奏海ちゃんの誕生日の1月26日でした。何という偶然でしょうか、なるべくしてなったのでしょうか。お兄ちゃんが言いました。
 「和尚さん、絶対生まれ変わりだね」
 「そうだよ。あなたたちが一生懸命お参りしたから、そうに違いない」
 4年前とは違って、希望と喜びに溢れた年越しになりました。予定日より3日遅れ、奏海ちゃんの命日の前日に元気な女の子が誕生しました。
 家族が、一心になってお参りしたから、誕生が「よりいっそう大きな喜び、幸せ」になったのではないでしょうか。仏さまの大慈悲に包まれています。

 


「みかえり法話集 第2部」

「みかえり法話集 第1部」