永観堂の寺宝


十六羅漢像13

(重文)十六羅漢像・インガダ尊者


 永観堂の所蔵する寺宝をお届けします。展示会などでは間近に見ることの少ない寺宝をお楽しみください。
 今回も、(重文)十六羅漢像から一幅をお届けします。 なお、表示画像は見やすくするため画像処理を施しています。実際の色合いや明瞭さと異なることがあります。


十六羅漢像じゅうろくらかんぞう その13・インガダ尊者


解説
 南宋の画家金大受筆本の系統を中心に、ある程度定型化の進んだ鎌倉後期以降の十六羅漢画にあって、禅林寺本は異色の羅漢像として特筆される。全体に動物や侍者、天部などを多く添え、背後の景観描写にも配慮を怠らないばかりか、象や虎に跨る姿や耳朶を長く垂下させるもの、海上をすべるように渡る羅漢など、日本では他に例を見ない羅漢が目に付く。しかし、大徳寺本五百羅漢像(南宋)や愛知・妙興寺本十六羅漢図(元)の一部に、禅林寺本と近い像容が見出され、本図が金大受筆本とは別系統請来画に拠ったことが窺われる。諸尊の裏彩色を併用した丁寧な顔貌表現と闊達な筆使い、対比の効いた豊かな賦彩は賞すべきで、制作は鎌倉後期と考えられる。中世羅漢画の多彩な展開を示す好例といえよう。

絹本着色
93.6.cm×40.9cm
鎌倉時代後期