阿弥陀三尊来迎図

阿弥陀三尊来迎図


永観堂の所蔵する寺宝をお届けします。展示会などでは間近に見ることの少ない寺宝をお楽しみください。
今回は、張思恭筆と伝わる阿弥陀三尊来迎図をお届けします。 なお、表示画像は見やすくするため画像処理を施しています。実際の色合いや明瞭さと異なることがあります。


阿弥陀三尊来迎図( あみださんぞんらいごうず)


解説
  逆手来迎印を結ぶ、大陸製作正面向き阿弥陀三尊立像のひとつ。湧出する霊芝雲の中に姿を表わす三尊は踏割蓮華上に立ち、阿弥陀如来は、左手は胸前で手のひらを上に向け第一指と第三指を捻じ、右手は垂下し手のひらを見せる。阿弥陀如来の向かって右には宝冠に立像化佛を載せる観音菩薩が蓮台を捧げ持ち、向かって左には、宝冠に水瓶を載せる勢至菩薩が合掌する。両脇侍とも阿弥陀同様正面向きである。逆手来迎印のほか、長い爪や長い腕、大きな足を露にする姿、そして腕の透けて見える衣の表現等は、知恩院・阿弥陀浄土図に代表されるような宋代阿弥陀画像に共通する表現とみなされる。
また、本図には「張思恭筆」との金泥落款がある。張思恭は、室町時代に将軍家を中心とするサロンで製作され、その後の日本における請来絵画評価に影響を与え続けた『君台観左右帳記』が、「人物・仏像・弥陀」に長けた宋代の画師としたことにより早くから知られ、大陸の画史類に現れない画師ながら、日本ではその製作との伝承をもつ仏画の数も夥しいが、落款としてその名が残された作例は少ない。同じ張思恭筆の落款を持つ京都・廬山寺所蔵の阿弥陀三尊像と全く同一の表現をとるものではないが、面貌表現などに共通を見出すことが出来、その他の表現を合わせてみても、本作を表現技法上大陸の画師製作の範疇に入れるのは穏当かと思われる。
蓮台捧持の観音菩薩と合掌の勢至菩薩は、「来迎」の動勢を明らかにしないものの、阿弥陀来迎図脇侍像として日本では特に典型的な図像として流布したもの。この図像をもつ大陸の来迎図の遺品は少ないとはいえ、本図も同じく来迎図と考えるのが自然であるが、大陸においては「逆手来迎印」が往生時に来迎ずる阿弥陀三尊中の阿弥陀の印相として描かれた例も意外に少なく、珍しい作例といえる。

絹本着色
102.8cm×57.4cm
鎌倉時代