法然上人を歩く旅から

第10回　舞子 - 六甲道　23.5km

　平成21年3月8日日曜日。週間天気予報を気にしながらの当日、またもや好天に恵まれ、時々陽のさす薄曇りの空。気温は10度程度ながら浜風にも何となく春の気配を感じる。今回は明石海峡大橋のたもとにある舞子駅から東灘の六甲道までの神戸市内を横断する約24キロの長丁場である。
　午前9時15分、舞子駅に現地集合。今回、新たに4名の方が参加されて一行は58名。駅前の広場にて点呼・資料配付を行い、明石海峡大橋をバックに恒例の記念撮影。9時20分すぎに駅を出発。大橋を右手に見て海岸沿いに東進する。日曜の朝とあってジョギングや散歩をする人々とすれちがう。10分くらい歩くと海岸に迫った山の途中に五色塚古墳がある。右手には神戸市によって整備されたウォータフロントのマリンピア神戸が見えてくる。さらに進むと垂水駅を過ぎて、海岸の埋め立て地に下水処理場と公園が整備されており万葉の歌碑などがある。公園を通り抜けて塩屋駅に近づくと海岸はさらに狭くなって、狭い土地にJR山陽線、山陽電鉄、国道が通り、電車や車が絶え間なく行き交う。塩谷駅を過ぎると須磨浦公園の一端に源平一ノ谷の合戦で落命した平敦盛の塚がある。この辺りは歴史に数多く名を残す土地であることを思わせる。更に歩を進めると前方に、桟橋が海に張り出して多くの釣り人が居並んでいる。海釣り公園である。

　須磨浦公園は鉢伏山が海岸沿いの松林に迫る景勝地で、小休止したいところであるが先はまだ長いため歩を進める。舞子を出て歩くこと約2時間、須磨駅を過ぎて跨線橋を渡ると須磨海浜公園に到着する。東洋のニースとも呼ばれ、白砂青松の広大な敷地に、水族館、球技場、ヨットハーバー、国民宿舎などが整備されている。公園内ではユニホーム姿の野球少年たちがランニングし、東屋ではバーベキューをする人など、のどかな公園風景が広がる。ここで待望の休憩を取る。11時半ともなればお腹もすいてくる。ここでおにぎりやサンドウィッチを頬張ったりして元気を取り戻す。公園を後にして、外浜町、駒ケ林町に入る。これまでの海を眺めながらの景色は一転して商業地に変貌する。石油会社、運輸会社、ガス会社などが建ち並び、まさに港湾都市神戸を思わせる景観となる。
　新湊川、兵庫運河にかかる橋を渡ると前方に大きなドーム。御崎公園の一角に建つヴィッセル神戸のホームグラウンド、ホームスタジアム神戸である。ここでもう12時40分。和田岬の駅を過ぎて笠松商店街という小さな商店街を抜けて右手に曲がる。右手の民家の奥に「元祖教会」というお堂がある。ここには四国へ配流される法然上人が書かれたというご真筆の名号石がお祀りされている。
　1時過ぎ。当派のお寺、阿弥陀寺に到着。澤木ご住職や檀家の皆さまのお出迎えを受け、本堂と阪神淡路大震災で命を落とされた方々の慰霊碑「同入円寂」前でお十念を称える。その後、熱々の豚汁とおにぎりのお接待にあずかる。1時50分、阿弥陀寺を出発して少し歩くと神戸中央市場の近くに当派のお寺、来迎寺。境内には平家物語にもある祇王の石碑。ここでお参りを済ませ、いよいよ神戸市の中心街へ向かう。頭上には高速道路が走り、歩道橋が多くなる。20㎞も歩いてきた脚の疲れには歩道橋の階段はきつい。それでも気力を振り絞って歩を運ぶ。ハーバーランドを過ぎ、ポートタワー見て、やっとポートアイランドへの道に出ると時刻は午後3時。さらに歩いてやっとたどり着いた灘駅近くの敏馬神社で最後の休憩。残すところ2.5㎞。
　午後4時40分、六甲道に到着。後半は信号待ちで休めるのを何よりも待ち遠しく思う歩く旅でした。
　今回お世話になった皆さま、おかげで行程を完歩することができました。ありがとうございました。次回は本年5月17日（日）JR六甲道駅からJR北伊丹駅まで、21.3kｍの予定。（事務局　結城記）

JR舞子駅にて明石大橋をバックに記念撮影

元祖教会の法然上人御真筆名号石（神戸市和田岬）