永観堂の寺宝



蜜観宝珠形舎利容器

蜜観宝珠形舎利容器


永観堂の所蔵する寺宝をお届けします。展示会などでは間近に見ることの少ない寺宝をお楽しみください。
 永観堂には2点の舎利容器が伝えられています。その一つ「火焔宝珠形舎利容器」は昨秋の寺宝展で初公開されました。今回はもう一つの舎利容器をご紹介します。なお、表示画像は見やすくするため画像処理を施しています。実際の色合いや明瞭さと異なることがあります。


蜜観宝珠形舎利容器みつかんほうじゅけいしゃりようき


解説
 この舎利容器は近年京都国立博物館の調査で発見されたもので、二頭の龍が舎利容器の脇に付いている形式は珍しく、表面の模様など、全体のつくりも繊細で、舎利容器としては希少な作例であるとされます。南北朝時代頃の作品と考えられその使用方法等、詳細は今後の調査を待つものの、密教法具である五鈷杵が蓮台を支え、その上に宝珠が載っている形状をとります。その姿は真言密教系流派を中心とした舎利法や宝珠法に関連しているとされ、このことから密教の修法に用いていた可能性が考えられます。この舎利容器の形状が真言密教的であることから禅林寺が真言宗寺院であった名残を伝えるものとして注目される一品です。