永観堂の寺宝



佛涅槃図

佛涅槃図


 永観堂の所蔵する寺宝をお届けします。展示会などでは間近に見ることの少ない寺宝をお楽しみください。
 2月15日はお釈迦さまが亡くなられた日とされ、涅槃会が営まれます。悟りを開かれたお釈迦さまは、45年にもわたり人びとに教えを説く旅を続けられました。その伝道の旅の最期の地となったのは、クシナガラという所でした。涅槃図には、多くの人々や動物の嘆き悲しむ姿が描かれています。
 なお、表示画像は見やすくするため画像処理を施しています。実際の色合いや明瞭さと異なることがあります。


(重文)佛涅槃図ぶつねはんず


解説
 跋提河のほとりの沙羅双樹のもと、釈迦が入滅した際の有様を描いた涅槃図で、四幅一鋪の粗い画絹に表される。切金の施された衲衣を纏った釈迦が、宝床上で右手を手枕として頭北面にして涅槃に入り、画面右上からは入滅の悲報に接した摩耶夫人の一行が、忉利天から雲に乗って駆けつける。本図では虚空の冷め冷めとした月から、入滅を悲しむ多数の大衆や鳥獣までを描出するため画面は縦長となり、また釈迦は頭部から描くが、これは鎌倉後期以降の涅槃図に通有の形式である。本図では、通常錫杖とともに木に懸けられる鉢を包んだ布が、釈迦の頭部のすぐ後ろに置かれているのが特徴である。樹木や雲の筆法などに宋元画の影響が看守され、制作は十四世紀半ば南北朝と思われる。
229.4cm×157.6cm