阿弥陀三尊来迎図
永観堂の所蔵する寺宝をお届けします。展示会などでは間近に見ることの少ない寺宝をお楽しみください。
今回は、作者不詳ですが永観堂に伝わる阿弥陀三尊来迎図をお届けします。
なお、表示画像は見やすくするため画像処理を施しています。実際の色合いや明瞭さと異なることがあります。
阿弥陀三尊来迎図
解説
舟形光背を負って踏み割り蓮華に立つ阿弥陀三尊を、それぞれ一副一鋪に描く。朱の袈裟に緑青の裙を纏う阿弥陀は、禅林寺一幅本と同じ印相とする。化佛宝冠を戴き衣を頭から着す観音は、右手につまんだ柳楊枝を右手に持つ透明の壷に入れ、楊柳観音に表される。一方顔を正面に向ける勢至は、瓔珞など豪華な身具を身に付け、両手で蓮華茎を執る。こうした像容の阿弥陀三尊は、やはり清浄華院本をはじめとする宋代仏画に見られる形式で、本図は清浄華院本体軀の向きを換え、福井・西福寺本阿弥陀像(南宋)の光背を付した形式になる。また着衣から肉身を透かせ、光背の周縁に絹裏から金を置く技法、蓮弁から立ち上がった蓮肉の表現など、宋画の手法を大幅に取り入れている。ただし着衣の文様が省かれ裳裾も穏和な表現になることから、十四世紀頃の日本での模写本であろう。なお本図は表背墨書より、禅林寺派の京都・西林寺に伝来したものとわかる。
絹本着色
各129.0cm×54.0cm
室町時代